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農家さんと子どもたちが協働し、商品開発に取り組む6次産業化の探究プロジェクトを学校でも取り組んでみませんか?[PR]

農家さんと子どもたちが協働し、商品開発に取り組む6次産業化の探究プロジェクトを学校でも取り組んでみませんか?[PR]

日本の教育現場では、探究が重要視されるようになりました。
しかし、学習は校内で完結することが多く、子どもにとってリアルな出会いや学びを得る場になりにくいという課題があります。

大阪を拠点に活動する「The Lab of Future Innovators and Creators(通称、LFIC|エルフィック)」は、子どもと社会がつながる学びの機会を創造すべく、農家と子どもが協働する6次産業化などユニークな探究プロジェクトを実施しています。

代表の藪崎喜子さんに活動内容や意義、子どもたちの反応について話を聞きました。

写真:藪崎 喜子(やぶざき よしこ)さん
藪崎 喜子(やぶざき よしこ)さん
LFIC代表理事/Creative Director

鬱病の多いIT業界にいたときに心理学を学び、人材育成に携わる。そして我が子が学校に行かない選択を経験したときに、日本の子どもたちが「社会に接続しながら学ぶ機会があまりにも少ない」ことに危機感を持ち、多様な学び場を創る活動をスタート。農業体験などの活動を通じて、日本の食料自給率や就農者人口の減少・高齢化といった問題を目の当たりにした経験から「生産者の顔が見えるだけの一方通行ではなく、もっと消費者とつながりたい」という生産者の願いを実現し、子どもたちがプロの大人たちとコラボして一緒に商品を開発し「自分が社会の役に立った」体験ができる「教育×1次産業」のプロジェクト型学習プログラムを立ち上げる。

未来のイノベーターとクリエイターが一緒に探究し学び合う場

——LFICを立ち上げられた背景を教えてください。

直接のきっかけは、長女が中学で学校へ行かない選択をし、学校外でも生きる力を身につけられるようにと考えたことです。そもそも日本の子どもたちは社会と接点を持つ機会が少なすぎると危機感が募りました。

2017年にワーキングマザーで団体を設立し、週末に親子イベントを開催。2019年には団体名をThe Lab of Future Innovators and Creators、愛称LFICに変更しました。そして、子どもたちが社会を疑似体験したり、活躍している大人と接したりして視野を広げられるようなプログラムを作って活動しています。

——The Lab of Future Innovators and Creatorsには、どんな思いを込めているのですか?

「未来のイノベーターとクリエイターたちが一緒に探究し学び合う場」というメッセージを団体名に込めました。

ラボにしたのは、大人が答えありきで指導するのではなく、子どもと大人が一緒にチャレンジして探究することを目指しているからです。ちなみにクリエイターは0から1を生み出す人、イノベーターは1を10や100にする人という位置づけで、どちらも大事な役割だと捉えています。

未来のイノベーターとクリエイターたちが
一緒に探究し学び合う場をコンセプトにしている


——どのような事業をされているのでしょう?

前身の団体では、基金や生協などから助成金をもらって、単発の農業体験イベントなどをしていました。その中で、単なるスポットの体験ではなく、継続したプロジェクト型でアウトプットを生み出す形にした方が、子どもたちの学びを最大化できると考えるようになりました。

LFICでは「子どもたちと社会がつながる多様な学びの機会を創造すること」をミッションに掲げて、3つの活動を軸にしています。

メインの「農Coラボ」は、農家さんと子どもたちが協働して商品開発をする6次産業の探究プロジェクトです。ほかに自然の中で活動することで人間のあり方や自然を探究する「森moラボ」、ICTを使ったプログラミングや国際交流、SDGs、自己表現などをテーマにした「何demoラボ」があります。


——どれもおもしろそうですね。農Coラボの6次産業というのは、具体的に何をするのですか?

大きく3つのステップがあります。

子どもたちはまず農作物を育てる1次産業、それを加工する2次産業、さらにパッケージを作り販路を考えて消費者に届ける3次産業まで、一連の流れを全て体験します。期間は4か月を目安にしています。

例えば、最初のプロジェクトは大阪府泉佐野市の農家さんにご協力いただき、「春菊とワカメのスープ」を開発しました。

子どもたちは春菊の種をまき育てて、400kgを収穫してフリーズドライ工場へ。凍結乾燥の技術を知りました。スープにゴマを入れるため、希少な国産ゴマを焙煎されているメーカーさんの工場も見学しました。それから、パッケージづくりの工程ではプロのデザイナーさんに講師として来ていただき、子どもたちの描いたデザインでパッケージを製作。

最後の発表まで入れると実質4か月半で全10回のプログラムでした。

春菊とわかめのスープのパッケージ案

——子どもにとってはどれも新鮮な経験だったに違いありません。どんな様子でしたか?

400kgというのはかなりの量で、朝から夕方まで農作業しなければなりません。収穫したものをそのまま工場に搬入するので、子どもも農家さんと同じレベルで収穫し、コンテナへの詰め方も習得してもらいました。

最初はちょっと土がついていたり、切る場所を農家さんになおされたりといろいろ指導されていましたが、午後になると上手になって、あっという間にコンテナがいっぱいに。商品にするという目的があるから、子どもも真剣に頑張って、「すごく大変だけど、楽しくなってきた」と感想を口にしていました。

春菊は苦手な子も多いと思うのですが、その農家さんが無農薬で育てた春菊は苦みがなく、育て方によって野菜の味がこんなに違うのかと実感したようです。子どもたちから「この春菊は好き」と言われて、農家さんは喜ばれていました。


学校や子どもたちが社会とつながり、学べる環境をつくりたい

——大人も子どもも本気で取り組むからこそ、学びが大きいのですね。子どもが社会とつながるおもしろさを感じるのはどんなときでしょう?

2021年には奈良県五條市の農家さんで柿を収穫させてもらい、「カキップス」という商品を開発しました。柿の加工工場では、障がいのある方たちと一緒に全く同じ作業をさせてもらう経験もしました。

カキップスはマルシェに出店して、子どもたちが売場に立ち、試食したお客さんに「柿は苦手だけど、これは食べれるわ」と言ってもらったり、「このパッケージ、あなたたちが考えたの?すごいね」と褒めてもらったり。自分たちが作ったものが社会に出て、消費者に認めてもらえることが、自信につながっているようでした。

柿の加工工場の作業を経験


——なるほど、作る過程はもちろん成果物によっても社会とつながれるのですね。

農家さんがレストランを経営されていて、レストランを1日運営する機会もいただきました。子どもたちはメニューをゼロから考えて、柿を使ったカレーライスと米粉のシフォンケーキを出すことに。

「柿を使って、ケーキにインスタ映えするデコレーションをしてほしい」というお題ももらい、自由な発想でキツネを表現していました。当日は地域の方や保護者などが食べに来てくださって、1日50食限定のメニューは完売。自分たちでメニューを開発し、キッチンや接客で働き、お金をもらったことは、子どもたちにとってすごくいい体験になったと思います。

現場の方に衛生面や立ち回りなどを厳しく指導していただきましたし、お昼はお客さんが集中してしまい、働くことの大変さも分かったようです。一方でメニューが完売し、お客さんから「おいしかったよ」などと声をかけてもらい、社会とのつながりを実感し充実感も味わったと思います。

柿を使って、ケーキをデコレーションしてほしいという
お題をもらった子どもたちのアイデア


——農Coラボによって、社会にどんな価値を提供したいとお考えですか?

お話した事例が示すように、子どもたちはプロジェクト探究を通して自ら考え行動することで、課題解決力やコミュニケーション力、表現力など多様な力を身につけ、充実感や達成感、自己肯定感などを得ることができていると感じます。

また、1次・2次・3次産業の全ての仕事現場を垣間見ることで、いろいろな職業の人たちが働くことによって社会が成り立っていると実感できます。自分の将来を考えるキャリア教育の場としても有効でしょう。

農家さんやメーカーさん側としては、子どもが関わることで時間や手間はかかりますが、唯一無ニの特別なストーリーから商品が生まれて形になります。

最後の子どもたちの発表には農家さんも参加してもらっていて、農家さんから「一緒にできてすごくよかった」「楽しかった」「本当にありがとう」と直接声をいただき、子どもたちもすごく喜んでいます。活動をスタートして4年目になり、関わる人皆さんにとってメリットのある取り組みだと大きな手応えを感じています。

柿の収穫体験の様子


——農Coラボの対象年齢はありますか?

基本的には10代の子どもたちを対象にしています。LFIC主催のイベントでは、異なる年齢の子が混ざって学ぶことにも意義があると考えていて、小学生から高校生まで一緒に体験することもあります。


——LFICの今後の展望を教えてください。

私たちの取り組みを全国に広げて、社会貢献意識の高い大人と子どもが出会い一緒に探究する場をもっとアレンジしていきたいです。1次産業として、農業に加えて漁業や林業にもチャレンジできればという思いもあります。

同時に、農Coラボを学校に取り入れてもらうことで、学校や子どもたちと社会がつながりを持ちながら学べる環境をつくることも私たちの願いです。農Coラボには、学校の中ではなかなかできない体験や学びがたくさん詰まっています。農家さんやメーカーさんなど全てこちらでコーディネートできますので、何でも気軽にご相談ください。

私たちの活動に賛同しスタッフとして関わってくださる方も随時募集しています。子どもたちの未来のために仲間になってもらえるとうれしいです。

LFICがコーディネートする探究プロジェクトを学校でも取り組んでみませんか?
関西限定で2校モニターを募集しています!
問い合わせは、下記URLもしくはメールアドレスからお願いします。
https://lfic.fun/edu-support/
メールアドレス:inquiries★lfic.fun
※★印を@に変えて、メールをお送りください

〈取材・文=佐々木 恵美/写真=ご本人提供〉