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段階的な学習で徐々に難易度を上げていくのが、一生使える探究のコツ!まずは「考える力の土台作り」を[PR]

段階的な学習で徐々に難易度を上げていくのが、一生使える探究のコツ!まずは「考える力の土台作り」を[PR]

2022年度より新しく導入される高等学校学習指導要領の中で、「探究」という名がつく科目が多く新設され、「総合的な学習の時間」も「総合的な探究の時間」に名称変更されるなど、「探究」は新学習指導要領の重要なキーワードの一つとなっている。

すでにプロジェクトチームを結成して先行実施している学校、探究を核として教育課程そのものを大きく見直す学校改革の動きも見受けられる。

その一方で、「うまく課題設定できない」「生徒が主体的に取り組まない」「育むべき資質・能力を育成できている手応えがない」など、不安を隠しきれない現場の声も伝わってくる。

そこで、いち早く探究を中核とした教育課程をデザインし、教育目標とシンクロさせながら探究をベースにした授業に取り組む聖学院中学校・高等学校(東京都北区・私立)の伊藤豊教頭と日野田昌士教諭、探究教材の開発・販売を手掛がける株式会社トモノカイの神原洋子さんに、本質的な探究活動を実現するためのコツについてお聞きした。

写真:聖学院中学校・高等学校 / 株式会社トモノカイ
聖学院中学校・高等学校 / 株式会社トモノカイ
伊藤 豊(いとうゆたか)さん
聖学院中学校・高等学校 教頭

日野田 昌士(ひのだまさと)さん
聖学院中学校・高等学校 進路指導部 部長

神原 洋子(かんばらようこ)さん
株式会社トモノカイ


人の話をただ聞くだけではダメで、体験することが何より重要

貴校が探究活動を学びの柱にされたきっかけを教えてください。

当校は私立の学校ですので、有名大学合格者100名といったブランディングで学校改革することも1つの選択肢としてありました。

しかし、協働的な学び、実社会との関わりのある学びを提供したいという思いから、「Only One for Others」という当校の理念に立ち返って話し合う中で、求められているのは社会の難題に立ち向かえる人を育てることだという判断に至りました。7年ほど前から探究活動に力を入れています。

いろいろな選択肢がある中で、なぜ探究活動だったのでしょうか?

とにかく違和感が原点になっています。

テストが無くて、大学受験が無くて、評価が無かったとしても、私の授業は聞く価値があるのか?、この問いを私は自分にずっと投げかけてきました。

教員になって7年目ぐらい、30歳手前の頃に本気で悩みました。そこでこれまでとは何か違うことに取り組んでみたいと思って始めたのが、実社会との関わりということで外部の方を巻き込んだ授業の実施でした。

私は社会科担当なので、税金の話であれば税理士の方を招いて、独占禁止法であれば公正取引委員会の方を招いて。そんな感じで、単元が終わるたびにその単元に関連する専門家をゲストに招いて授業を実施する、という取り組みをやってみたのです。

生徒たちの反応はいかがでしたか?

結論で言うと、見事に失敗。自分としてはとてもいい授業を作った実感があったのですが、1年後に生徒に聞くと、「ああ、何か来ましたね」程度で全然覚えてない。

そこで、人の話をただ聞くだけではダメで、体験することが何より重要であることに気付きました。私自身、高校時代にプロジェクト型学習を体験していて、テストではない評価軸で学びを作りたくて当校に来たことを思い出しました。

ちょうど社会科の教科主任を任せていただいたタイミングだったので、継続的な取り組みにできるよう人員配置を調整したり、体験まで設計されている良質な外部コンテンツを探しました。

自分で教材を開発するという選択肢もありましたが、その選択は業務を逼迫してしまい大変になってしまうことが目に見えていました。大変なものは長くは続かない。そこで外部コンテンツを選択しました。

そのプログラムは、企業からのミッションに高校生が応えるという探究学習プログラムで、全国の学校で導入され始めていたものでしたが、生徒たちの頑張りがあり、参加1年目にして全国大会で優勝して。それで当校の探究活動も勢いづいていきました。


探究活動には「考える力の土台作り」が欠かせない

実際に探究活動に重点を置かれるようになり、難しさなどを感じることはありましたか?

ありましたね(笑)。ちょうど悩みを抱えていたときに神原さんにお会いしたんです。当校では、前校長のつながりから、貧困問題を抱えるタイ山岳民族の子どもたちを支援する施設と関わりがあります。希望する生徒を募り、その施設へ訪問して交流するタイ研修旅行を毎年実施しています。

その研修旅行を私が2010年から担当しており、参加した生徒たちに探究活動の一環として毎回レポートを書いてもらうんですが、論理構造がぐちゃぐちゃで、事実誤認も目立ちました。

優秀な生徒でもそうなってしまう。どうしたら、良い体験を深い学びに変えることができるのかを悩んでいました。

当時は弊社も探究事業を始めたばかりでしたが、いろいろな学校へ訪問して、授業を見学させていただいたり、ヒアリングをさせていただく中で、探究活動がうまくいっている学校と、うまくいっていない学校の違いが段々と分かるようになっていたんです。

その違いというのが、「考える力の土台作りができているか」と「段階的に探究学習を進めているか」否かでした。

探究活動で深い学びを生み出すためには、考える力の土台作りをしながら、段階的に探究学習を進めることが大切です。その考える力の土台作りをすっ飛ばして「さあ、レポート書きましょう!」ではうまくいかないというのは分かっていたので、まずは考える力の土台作りをしませんかと提案させていただき、3年ほどサポートさせていただいています。

「考える力の土台」というのは具体的にどういったことでしょうか?

ひとつは論理的・多角的に考える力であったり、情報を整理して再構築する力です。社会人的なワードで言うと、MECEの切り口やフレームワークを活用したロジカルシンキングのことですが、こういったことって意外と学校では学ばないので不思議だなとずっと疑問に思っていて。

あらゆる教材を見て研究したんですが、小学生向けと社会人向けしか見つけることができなかったんです。そこで弊社では、「一生使える探究のコツ」シリーズで3冊教材をご用意している中の1つに、考える力の土台作りができる「思考の手引き~整理・分析編~」を制作しました。

実際に、タイ研修旅行の準備期間にタイの現地の知識を入れるだけではなくて、トモノカイさんの「思考の手引き~整理・分析編~」を活用して、思考を磨くワークをやってもらいました。それから随分とレポートの質が上がったと思います。そして何より、私自身の思考が磨かれました(笑)。

教員もなかなか論理的・多角的に考える力を養う機会がなくて、トモノカイさんの教材を使っていくうちに、論理構造に対する理解度が増しました。

ロジカルシンキングの手法を知っているのと知らないのとでは、文章の作りやすさや、相手に伝える分かりやすさのレベルが違うなと実感しています。論理的・多角的に考える力は絶対に必要だし、早い段階から学べた方がいい。探究活動においては今も悩みは尽きないのですが、そういった考える力の土台があってこその探究活動だと思います。


段階的な学習で徐々に難易度を上げていくのが探究のコツ

すでに探究活動に取り組まれていて「うまくいかない」と悩まれている学校は、どういった悩みを抱えていらっしゃるのでしょうか?

多いのが生徒と接する際の悩みで、先生自身が探究的な学びを学生時代には体験していないということもあり、「探究って、これでいいの?」という疑問や、モヤモヤを抱えていらっしゃる先生が少なくないです。

生徒の顔を見ていると、受け身のやらされ探究になっていて、生徒が主体的に動かない、学びが深まっているように思えないとか…。これはあるあるなお悩みですね。

そういったお悩みに対しては、探究活動には段階的学習が必要なことをお伝えしています。いきなり壮大なお題を生徒たちに提示しても、やはり難しいので、先ほどお話した考える力の土台作りをしながら、取り組む内容においても徐々に難易度を上げていく段階的な学習をおすすめしています。

探究活動にも、段階的学習が必要なんですね。

その他にも、探究を進める際に、校内でなかなか他の教員の協力を得られないといった悩みを相談いただくことも多いです。探究に後ろ向きな先生の中には、探究をやる意味はあるのか?自分に探究的な進め方はできるのか?など、疑念や不安がそうさせている部分があるように感じています。

特に不安の原因は、先生が教え導かねばならないというマインドに縛られて、自分の方が知っていなければならないとか、失敗してはならない、と思ってしまうこと。また、そういった先生は、探究をやり始めても、不安から、お膳立てしすぎてしまうことがあります。でもそれは生徒たちの深い学びにはつながりません。

むしろ一緒に分からないことを楽しんで悩む、それが探究では大切ではないでしょうか。全てを先生が知っている必要もないですし、「先生も分からないから、調べてみよう」と言えるかどうか。

こういった先生の意識や関わり方についてのご相談をいただくことも多いので、弊社では教材だけでなく、教員向けの研修も提供させていただいています。

伊藤先生も、思わず教えたくなったり、お膳立てしすぎてしまうことがありましたか?

ありましたね。以前は生徒から分からないと言われたら、パッと教えてしまっていましたが、今は、教えることに対して疑問を持てるようになりました。

生徒から分からないと助けを求められたときに、教えるべきか、教えない方がいいのか、あるいはヒントを出すに留めた方がいいのかという、選択肢を持てるようになりました。

ただ、授業内で探究活動に取り組む難しさは、締め切りがあることです。締め切りがあるとどうしても教えたくなってしまって、「ああ、教えちゃった」と後悔して、「ああ、教えられたままに書いちゃった…」と毎回反省しています。

本当は生徒が主体的に調べていくうちに、楽しくなって、もっと知りたくなっていくサイクルが理想なんですが、なかなかエンジンがかからない子に対しては、ヒントだけでなく、その先まで教えちゃったりするんですよね。時間とのバランスが難しいです。

ここまでのお話を聞いていて、探究はこれからの教育の大切なキーワードですが、本質的な探究活動を推進するにはコツがあるので、そういったコツを熟知しているトモノカイさんの教材活用は有効そうですね。

多分、教材がないとできないですよ。あった方が絶対やりやすいですね。そもそも探究活動は、多くの学校にとってこれまでのやり方を変えるという挑戦になると思うんですよ。だからそれだけで大変。

大変なことって長続きしないから、外部をうまく巻き込んだ方がいい。聖学院は2011年頃から学校改革を進めてきましたが、餅は餅屋の考え方で、外部の方を巻き込んできました。

そう言っていただけて、ものすごくうれしいです。段階を追って学びを設計できる探究教材になっていますし、サンプルを無料進呈(詳細は記事の最後)していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

また、よりよいスタートを切るために探究をやる意義や生徒との関わり方、計画の立て方など、ご要望に合わせてワークショップ形式で先生向け研修会も実施しています。

最後に、これから探究活動に取り組まれる先生方へメッセージをお願いします。

すでにある行事や、すでにあるコンテンツを探究活動にカスタマイズするというスモールスタートで始めることをおすすめします。

冒頭にタイの研修旅行の例を出しましたが、そういった有志参加のスタディツアーや全員参加の修学旅行の事前学習、事後学習をうまく活用するといいかもしれません。授業外でまずは始めて、そのうち、じゃあ自分の授業の中でもやってみようかってなるんじゃないかなと思います。

探究的な学びを推進できるかどうかが、日本の従来型の教育から脱却できるか否かを左右する重要な転換点になると考えています。とはいえ、これまでのやり方を変えて何か新しいことに取り組むのは、それだけで負荷が大きいことです。

さまざまなお悩みを解消する手立てのひとつとして、教材を活用していただくことで、授業準備の負荷を減らし少しでもスムーズに取り組めるようにしたり、先生同士の目線合わせをしやすくしたり…学校外の立場からもお手伝いできることがあると思っています。

ただ、もちろん教材だけではカバーできない領域もありますので、他の先生方の知見を共有し、同じように悩まれてこられた先生方の声が聴けるような研修やセミナーといった場作りをしていくことで、質の高い探究的な学びが少しでも早く現場に広がるようにサポートしていきたいと思っています。


<教員研修会の問い合わせはこちら>
探究をやる意義や生徒との関わり方、計画の立て方など、ご要望に合わせてワークショップ形式で研修会を実施しております。気軽にご連絡ください。

050−1745−6688
※月曜〜金曜(10:00〜18:00)
※先生の学校の記事を見たとお伝えいただくとスムーズです