100年続くハワイの名門校で学ぶ、アート×探究学習。10名限定の学費無料枠も。教員向け研修が2026年7月に開催!
「探究学習」という言葉が日本の教育現場に定着しつつある今、「調べ学習や発表活動にとどまってしまい、うまく深まらない」と悩む先生も少なくないのではないだろうか。
そんな中、これからの日本の教育を考えるうえで大きなヒントになりそうな研修が、2026年7月にハワイで開催される。主催は100年以上の歴史を持ち、ジョン・デューイの教育哲学を体現する最高峰のプログレッシブスクール「ハナハウオリ(Hanahau'oli School)」で、東京でアートを使った探究学習を実践する「Kodomo edu」が日本の窓口を担っている。
ハナハウオリが実践する「アート×探究学習」とはどのようなものなのか。そして、なぜ今、日本の先生たちがハワイで学ぶ意味があるのか。Kodomo edu代表の上田佳美さんに、ハナハウオリを訪れて感じた現地の空気感や、本研修で得られる学びについて話を聞いた。
イタリア発祥の教育法「レッジョ・アプローチ」をベースとし、アートを使った探究型インターナショナルスクールを東京・目黒区などで運営。次世代に必要な非認知能力を育む教育を実践している。2026年7月、ハワイのプログレッシブスクール「ハナハウオリ(Hanahau'oli School)」と共同で、日本の教育関係者向けに探究学習のProfessional Development(教員研修)を開催する。
ジョン・デューイの思想を100年以上実践する「ハナハウオリ」とは?
——今回、Kodomo eduさんとハワイの「ハナハウオリ」が共同で教員向けの研修(Professional Development)を開催することになった経緯を教えてください。
実は昨年、私がプライベートでハワイを訪れた際、ホストファミリーの方がハナハウオリの卒業生で、「ぜひ見学してみたら?」と紹介してくださったことがきっかけでした。当日、見学ツアーを担当してくださったのは、ハワイ大学とも連携しているハナハウオリの教員研修部門のディレクターの方でした。
私たちKodomo eduも、レッジョ・アプローチをベースに、アートを通じた探究学習を実践しています。そのため、「先生の育成をどのように行っているのか」「子どもたちをどのように導いているのか」など、たくさん質問をさせていただきました。
すると先方も私たちの取り組みに関心を持ってくださり、「本場のプログレッシブ・エデュケーションを、日本の先生や子どもたちにも届けたい」という思いで意気投合しました。そこから、「ぜひ一緒にやりましょう」とお声がけいただいたのです。
——数ある海外の学校の中で、ハナハウオリはどのような特徴を持つ学校なのでしょうか。
一言で言うと、ハワイで最初にプログレッシブ・エデュケーション、つまり進歩主義教育をスタートした先駆的な学校です。
創設者が自ら土地を持ち、「ジョン・デューイの思想をもとにした学校をつくる」と決めて、100年以上前に立ち上げました。開校当初には、デューイの奥さまも実際に訪れ、意見交換をしていたそうです。アメリカ本土の学校とも交流しながら教育実践を体系化してきた、非常にユニークで歴史のある学校です。
ジョン・デューイの教育哲学を一言で表すなら、「子どもは経験を通して学び、学校は民主的な社会をつくるための“小さな社会”である」という考え方です。

子ども自身が実際にやってみること、いわゆる“Learning by Doing”を通して学ぶことを重視していますが、ハナハウオリはまさにこの思想を体現している学校だと感じました。
——実際に現地を訪れて、子どもたちの姿や学校の空気感はいかがでしたか?
キャンパスがとにかく美しく、ハワイの自然を取り入れた開放的な環境でした。
幼稚園から小学校6年生までの全校生徒が集まる朝礼では、みんなで輪になって校歌を歌ったり、ちょっとした瞑想のような時間を設けたりしていました。とてもピースフルで、お互いをリスペクトし合っているコミュニティだと感じましたね。
アメリカの「素晴らしい」と言われる学校の中でも、ここは知識だけでなく、人間性も大切に育てている学校なのだと実感しました。

また、ハナハウオリは、ハワイの公立・私立を問わず、学校教育を支える機関としての役割も担っています。ハワイ大学の教育学部と連携し、先生たちに教員研修を提供するなど、まさに「オアフ島の教育の中枢」のような存在でもあります。
先生は「待つ」。子どもをリスペクトし、可能性を信じる探究の形
——ハナハウオリの探究学習で、日本の学校と違うと感じた点はありましたか?
まず、先生たちの「問いかけ」のレベルが非常に高いと感じました。そして、探究のプロセスをステップバイステップで、とても丁寧に積み重ねていることも印象的でした。
例えば、子どもたちが「シェルター、つまり家や住まいの概念」を探究する授業があります。この授業では、単に家について調べるのではなく、まず「そもそもシェルターとは何か」という定義を考えるところから始まります。
シェルターの捉え方は、人によって異なります。だからこそ、自分たちにとっての「ホーム」とは何かをきちんと言語化した上で、探究を進めていくのです。
——なるほど。問いの深さもさることながら、プロセスを大切にしているのですね。
そうですね。そして何よりも「先生が待つ」姿勢が徹底されています。発言に時間がかかったり、考え込んで沈黙が生まれたりしても、先生は自分のペースでリードするのではなく、しっかり待ってくれるんです。
日本の教育環境では、大人が大人のペースで授業を進めようとして、意見が言えるはずの子どものタイミングを見失ってしまうことが少なくありません。
ハナハウオリの先生たちが待てるのは、「一人ひとりの生徒の可能性を信じているから」です。「この子からアイデアが出てくる」「この子の声を聞く」と思っているからこそ待てる。フラットな関係性があり、どの子の意見も大事にされるという空気感が教室中に漂っていて、先生が生徒を心からリスペクトしていることが伝わってきました。

——待つことで、子どもたちにはどのような変化が生まれるのでしょうか。
私たちKodomo eduのサマースクールでも、その変化を何度も目にしてきました。
最初は「入りたくない」と控えめだった子が、先生から「あなたはどう思う?」「あなたはどうしたい?」と意見を聞かれ、自分のアイデアには価値があるのだと理解すると、見違えるように毎日楽しく参加するようになります。
自分の声を聞いてもらう体験が、「もっと話したい」「もっと聞いてほしい」という気持ちにつながり、子ども自身の主体的なマインドを育んでいくのだと思います。

なぜ「アート」が探究学習に必要なのか。見えない思いを引き出す力
——今回の研修やKodomo eduさんの実践でも「アートと探究学習」を掛け合わせていますが、アートは探究においてどのような役割を果たすのでしょうか?
ハナハウオリでは、ジョン・デューイの理論をベースにしながら、アートを通じて探究学習を行うことをとても大切にしています。
教室のあちこちには、子どもたちが制作したアート作品や、先生の問いかけに対する子どもたちの回答をまとめたドキュメンテーションが飾られていました。そこには、学びのプロセスが常に目に見える形で残されていたのです。
アートを取り入れる最大の理由は、子どもの思考やアイデアを、頭の中から外に出すためのツールになるからです。自分の頭の中にあるものを、すべて言葉で説明できる子どもは、実はそれほど多くありません。通常の探究学習では、どうしても「言葉で伝える力」のある子どもの意見だけが拾われやすくなってしまいます。
——確かに、言葉での発表が得意な子ばかりが目立ってしまうことはよくあります。
子どもの中には、大人の想像を超える素晴らしいアイデアがたくさんあります。
例えば以前Kodomo eduで、あまり発言をしないおとなしい子が、アートで「理想の街」を作ったときに、家の中に小さなリビングを作り、「ここにはこんな性格の子がいて、こんな時間を過ごしている」と語り始めたことがありました。それは、最初の言葉だけのディスカッションでは、決して出てこなかったアイデアでした。

手を動かし、形にすることで、言葉の引き出しが増えていく。そして、自分の内側にある、まだ見えていなかった思いや考えを表現できるようになる。
アートは、ただのモノ作りではなく、言語を補い、子どもの思考を外に出すための大切な活動なのだと思います。
——アートの教育的価値が科学的にも実証されているそうですね。
そうなんです。『アート脳』というアメリカのベストセラー本があるのですが、そこでは、アートに触れたり、自らつくったりすることによって、感覚や感情、身体的な機能がつながり、シナプスが増えていくことが脳科学的に証明されています。それが、将来の思考力にもつながっていくのです。
机の上で行う学習とは違い、アートは身体を使い、手を動かしながら形にしていく学びです。そのため、記憶として定着しやすく、学習効果も非常に高いとされています。
アートは、単に「絵を描くため」「アーティストになるため」のものではありません。思考力や表現力を育む、明確な学習効果を持つものです。そのことがエビデンスとして示されたことは、教育における大きな転換点だと思います。
ハワイと日本の意外な共通点。現地で学ぶからこそ得られるもの
——今回の研修はハワイでの現地開催となります。渡航のハードルもある中で、あえてハワイで学ぶ意味や、日本との親和性についてはどのようにお考えですか?
ハワイの方々は、日本人や日本の文化に対して、とても親近感を持ってくださっています。ハワイも日本も、自然豊かな島国です。だからこそ、「自然への感謝」や「自然の恵みを理解する」といった文化的な基盤に、共通する部分があると感じています。

自然の中で育ち、自然に感謝し、お互いをリスペクトし合うことを大切にする。そうした価値観は、アメリカ本土よりも、日本の先生たちの感覚に近い部分があるのではないでしょうか。
ベースとなる価値観が似ているからこそ、教育現場のあり方や学校の空気感にも親和性があります。日本の先生たちにとっても、現地で得た学びを、自分たちの実践に自然に落とし込みやすいのではないかと思います。
——なるほど。「遠い海外の先進事例」ではなく、日本の教育とも響き合う探究のあり方を学べるのですね。
はい。教育の前提となる思想が大きくズレていないので、持ち帰れるものが非常に多いと思います。ハナハウオリの朝礼で感じたような、お互いを尊重し合うリスペクトと感謝に溢れたコミュニティの空気感は、やはり現地に行って実際に肌で感じてみないと分からないものです。
——7月20日・21日に開催されるProfessional Developmentでは、具体的にどのようなことが学べるのでしょうか。
この2日間は、ハナハウオリのアートを使った探究学習について、「理論」と「実践」の両方を学ぶことができます。
プログラムでは、ハナハウオリが100年かけてどう学びを設計してきたかという理論的なお話から、実際の探究学習のプロセス、先生たちの問いかけの工夫、子どもの反応に対する支援の仕方まで、非常に実践的な内容を教えてもらえます。

また、ハワイの多くの学校が採用している「P4C(子どものための哲学)」へのアプローチについても共有していただきます。対話を通して探究をどう進めるかという基礎から実践までをサポートする内容です。すべて日本語の通訳が入るので、英語に不安がある先生でも安心して深く学ぶことができます。
——研修後、先生たちはどのようなものを現場に持ち帰ることができそうですか?
日々の実践を少し変えるだけで、子どもの可能性はこんなにも広がるのだ、という実感を持ち帰っていただけると思います。例えば、アートを取り入れながら子どもたちのアイデアをどう形にしていくのか。どうすれば、子どもたちがもっと主体的に学びに関わってくれるのか。そうした具体的なクラスづくりのヒントを得られるはずです。
理論と実践をしっかり学んだ上で、参加者同士でリフレクションやワークを行う時間も設けています。自分たちが大切にしてきた価値観と、ハワイで出会う新しい価値観を重ね合わせながら、自分自身の実践をブラッシュアップしていく時間になると思います。

何より、ハナハウオリの「子どもをリスペクトし、その可能性を信じて待つ」という環境を目の当たりにすることで、先生ご自身の「子ども観」や「教育観」、さらには「人生観」までもが大きく揺さぶられる。そんな出会いの場になると確信しています。
——最後に、日本の先生方へメッセージをお願いします。
AIが急速に普及し、「今までの教育のままではいけない」と痛感している保護者や教育関係者の方は多いと思います。だからこそ、AIには代替されない力、つまり主体性や内発的動機を育む「探究学習」を、日本の教育現場にどのように取り入れ、深めていくのかが、今まさに問われています。
「今の自分の探究学習のままでいいのだろうか」「どう深めればいいか分からない」と悩んでいる先生にこそ、ぜひ来ていただきたいです。
ハワイ大学の奨学金制度を利用した奨学金枠は、事前に審査(面談)がありますが、通常枠は、どなたでもご参加可能です。みんなで手を取り合って、日本の教育現場をより良くしていくための実践を共に学べたらうれしいです。ご参加、お待ちしています!
▼ 2days Workshop 概要とお申し込みはこちら
https://events.humanitix.com/japan
▼奨学金申込みに関するフォームはこちら
https://docs.google.com/forms/d/1tiUkQZLAs-RKfEy6HisPP16Jf8s2UMwyGKGASVhTr3c/viewform?edit_requested=true
〈取材・文/先生の学校編集部、写真:ご本人提供〉