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DEIのはじめの一歩は、“学校の当たり前”をちょっと見直すこと。子どもと先生の「やってみたい」に耳を傾ける、筒井小学校の「学びチャレンジデー」

DEIのはじめの一歩は、“学校の当たり前”をちょっと見直すこと。子どもと先生の「やってみたい」に耳を傾ける、筒井小学校の「学びチャレンジデー」

DEI(Diversity, Equity, Inclusion)は、近年、教育現場でも注目されている概念で、多様性・公平性・包摂性を重視し、誰もが尊重され、安心して参加できる環境を目指す考え方だ。

「学校でDEIを実現する」と聞くと、制度改革や特別な取り組みが必要だと思うかもしれない。けれど、出発点はもっと身近なところにある。例えば、子どもや先生の「やってみたい」という声に耳を傾けること。ふとした違和感に目を向けること。「違い」をそのまま受けとめるまなざしを持つこと。そんな一歩からでも、DEIは始められる。

青森市立筒井小学校では、“学校の当たり前”を一つひとつ問い直しながら、「みんなが幸せな学校づくり」に挑戦している。月に一度、子どもも先生も自分の「やりたい」に挑戦する「学びチャレンジデー」も、その実践のひとつ。

今回は、この取り組みの背景にあるまなざしについて、同校校長の柴田美穂子さんに話を聞いた。

写真:柴田 美穂子(しばた みおこ)さん
柴田 美穂子(しばた みおこ)さん
青森市立筒井小学校 校長

〜プロフィール〜
大学で児童心理学を学び、小学校教諭としてキャリアをスタート。これまで青森市内の大規模校・中規模校で学級担任や学年主任、教頭を務め、2022年4月より現職。公認心理師および日本教育カウンセラー協会中級教育カウンセラーの資格を持ち、子どもの心に寄り添う教育を大切にしている。また、先生の幸せ研究所主催の「先生のマイプロジェクト」に参加するなど、学校の枠を超えて学び続けている。日々、教育の現場で「みんなみんなが幸せになる学校とは?」「よりよい学校づくりとは?」と問いを立てながら、先生や子どもたちが共に成長できる環境づくりに取り組んでいる。


学校を、「やりたい」に向かって進める場所に


そうですね。旧校舎が最後の年に、この学校に着任しました。建物はとても古く、あちこちが壊れていて、学ぶ環境としてはなかなか大変なことも多かったです。同じ敷地内で新校舎の建設も進んでいたため、制限も多くありましたが、だからこそ逆に「やってやるぞ」という気持ちが湧いてきました。

子どもたちも、「旧校舎が今年で終わるなら、何か自分たちにできることはないかな?」と考えていたようです。そこで、子どもや保護者に「最後にやってみたいことはありますか?」と聞いてみたところ、「学校の中でお化け屋敷をやりたい」「みんなで校舎の中で鬼ごっこをしたい」「思いきり壁に落書きしたい」など、さまざまな声が挙がりました。

それらのアイデアを、PTAの保護者の方たちと一緒に、実現していったんです。


学びを成果や見た目でジャッジしない「学びチャレンジデー」


学校の当たり前を、地道に一つひとつ問い直す


特別支援学級に在籍している子どもたちの中には、強いこだわりを持つ子もいます。でも、その“こだわり”の中に、その子らしさがしっかり表れているんですよね。例えば、ある子はお母さんと一緒にたくさんクッキーを焼いてきたり、ブロック遊びが大好きな子は、自分の作品を写真に撮って見せてくれたり。そんな風に、それぞれの「その子らしさ」を大切にしたいなと思っています。

私は教育において、「誰一人諦めない」という考え方をとても大事にしています。そしてその実現には、一人ひとりが“自分で決める”経験を積み重ねていくことが欠かせないと感じています。